「大西洋の真珠」とも称されるマデイラ諸島は、ポルトガル領の美しい島々です。この諸島は観光地として有名ですが、その歴史的背景を知ることで、この地域がいかにしてヨーロッパの大航海時代に重要な役割を果たしたかが見えてきます。マデイラ諸島はどのように植民地化され、その後なぜ「大西洋の真珠」と呼ばれるようになったのか、その歴史を掘り下げていきます。

 

 

マデイラ諸島の植民地化の始まり

発見

マデイラ諸島の発見は1419年に遡ります。ポルトガルの探検家ジョアン・ゴンサルヴェス・ザルコとトリスタン・ヴァス・テイシェイラがこの諸島を発見し、ポルトガル王国の支配下に置いたのです。当時、ポルトガルはアフリカ沿岸を探索し、新しい貿易ルートを模索しており、マデイラ諸島はその航路の途中にある重要な拠点と見なされました。

 

重要な砂糖生産地に

この発見後、ポルトガルはすぐにマデイラ諸島の植民地化を進め、農業開発を開始しました。最初に栽培が試みられたのは小麦でしたが、すぐに砂糖の生産が大きな産業となります。15世紀半ば、ヨーロッパ全土で砂糖の需要が急増しており、マデイラはこの「砂糖経済」の先駆けとなったのです。ポルトガルはアフリカから奴隷を導入し、砂糖プランテーションを発展させ、マデイラを一大生産地に育てました。

 

「大西洋の真珠」と呼ばれる理由

自然の美しさ

マデイラ諸島が「大西洋の真珠」と呼ばれる理由には、いくつかの要因があります。一つはその自然の美しさです。この諸島は火山活動によって形成されたため、豊かな自然景観に恵まれ、亜熱帯の温暖な気候と独特の生態系を持っています。緑豊かな山々、急峻な崖、そして青い海が広がるマデイラの風景は、訪れる人々を魅了してきました。

 

マデイラワイン

もう一つの理由はマデイラワインの存在です。16世紀には、マデイラ諸島はワインの生産地としても名を馳せるようになりましたが、特に、マデイラワインは長期保存に耐え、長距離航海にも適していたため、世界中に輸出される高級品となったのです。このワインはヨーロッパの王侯貴族や、さらにはアメリカの独立宣言の署名時にも提供されたとされており、その品質は高く評価され続けています。

 

 

マデイラ諸島の歴史的な役割

重要な補給地

マデイラ諸島は、ポルトガルの大航海時代において極めて重要な役割を果たしました。大西洋を航行する船にとって、この諸島は理想的な補給地点だったのです。ポルトガル船はここで食料や水を補給し、アフリカ沿岸や新大陸への長い航海に備えました。このように、マデイラは貿易と航海における要所となり、ポルトガルの海洋帝国拡大を支える拠点となったのです。

 

豊富な資源

マデイラは砂糖や木材などの資源が豊富であり、これらはポルトガル本国や他のヨーロッパ諸国にとって貴重な輸出品となりました。特に砂糖産業の成功は、カリブ海諸島やブラジルでの砂糖プランテーションの発展に大きな影響を与えたと言われています。つまり、マデイラの砂糖生産モデルが、後に他の植民地で繰り返されたのですね。

 

人気の観光地

19世紀にはヨーロッパ貴族や上流階級がこの美しい島を保養地として訪れるようになり、マデイラは観光地としても発展しました。その気候の良さと風光明媚な自然は「大西洋の真珠」としての名声を高め、今日でも多くの観光客が訪れる場所となっています。

 

現在でも、マデイラ諸島はポルトガル領であり、自治権を持つ地域です。農業、特にワイン産業やバナナの栽培が経済の中心を占めていますが、観光業もまた島の経済を支える重要な要素となっているんですね。