大航海時代の定義|大交易時代との違いは?
「大航海時代」の定義をわかりやすく解説すると共に、「大交易時代」の違いを、歴史的背景と特徴に焦点を当てて解説。両時代の共通点や異なる点を比較し、世界史への影響を考察します。

大航海時代の定義|大交易時代との違いは?

大航海時代」という言葉は、歴史に興味がある方なら一度は耳にしたことがあるでしょう。この時代、ヨーロッパの国々は新しい航路を開拓し、世界中での探検と貿易に乗り出しました。しかし、これに似た「大交易時代」という言葉も存在します。一体、この二つにはどのような違いがあるのでしょうか?今回は、それぞれの時代の特徴や背景を掘り下げつつ、その違いを分かりやすく解説していきます。

 

 

大航海時代とは

大航海時代は、15世紀後半から17世紀にかけてヨーロッパ諸国が海外に進出し、新しい航路や領地を開拓した時期を指します。とりわけポルトガルやスペインが主導したこの時代は、アジア、アフリカ、そして新大陸との接触が活発化し、世界の地図が大きく書き換えられました。

 

海外進出の目的

この時期の主な目的は、当時のヨーロッパが熱望していた香辛料やシルク、金銀などの資源を求めての探検でした。そして、クリストファー・コロンブスヴァスコ・ダ・ガマ、フェルディナンド・マゼランなどヨーロッパ出身の探検家たちが次々と新たな航路を発見し、世界史に名を刻んだのです。

 

航海技術や船の改良が進み、大洋を越えて長距離を航行することが可能になったことも、この時代の重要な要素です。また、ヨーロッパ人がアジアやアメリカ大陸で築いた植民地は、後に世界経済と政治の大きな変化をもたらし、現代に至るまでその影響を残しています。

 

大交易時代との違い

一方で「大交易時代」という言葉は、大航海時代と関連しつつも、より広義に使われることが多いです。大交易時代は、世界規模の経済交流が本格化し、商品や技術、文化が大陸を超えて交換されるようになった時代です。もちろん、大航海時代の航海と探検がその大きな原動力となっていることに変わりはありませんが、大交易時代は貿易により焦点を当てている点で異なります。

 

たとえば、香辛料や砂糖、コーヒー、茶などが世界中で取引され、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカ大陸が一つの市場のようにつながっていく過程を指すのが「大交易時代」です。ここでは、単なる探検というよりも、その後の商業的な交流や商品流通の拡大に重きを置いていることが分かります。

 

大交易時代の背景

大交易時代は、大航海時代の発展によって生まれたと言えるでしょう。とりわけ、17世紀から18世紀にかけては、ヨーロッパの商人たちが各地の植民地から原材料を輸入し、自国で加工して商品を再輸出するという貿易が盛んになりました。この時期には「三角貿易」と呼ばれる、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸間の奴隷貿易が広がり、経済的にも社会的にも大きな影響を与えました。

 

また、商品だけでなく、文化や思想の交流も活発化しました。中国からは陶磁器や茶がヨーロッパにもたらされ、インドからは綿織物が人気を博しました。これにともない、各国の生活様式やファッション、食文化が多様化していくのです。

 

二つの時代の共通点と違い

このように見てくると、大航海時代と大交易時代は共に世界の歴史に大きな変化をもたらした重要な時期でありながら、それぞれに異なる特徴があることが分かります。

 

大航海時代

大航海時代は、どちらかと言えば「発見」と「探検」に焦点が置かれ、未知の土地との接触や新しい航路の発見が主なテーマです。

 

大交易時代

一方で、大交易時代はその結果生まれた「貿易」や「経済交流」に焦点が移り、物資のやり取りや商業活動が中心になっています。

 

上記の違いを理解することで、歴史全体の流れや背景がより鮮明になるでしょう。