
大航海時代の船乗りたちは、数か月、時には数年にもわたる過酷な航海を行っていました。そんな彼らが身につけていた衣服は、単に見た目だけでなく、厳しい環境での生存にも大きく関わるものでした。今回は、そんな大航海時代の船乗りたちの衣服事情について詳しく解説します。
大航海時代の船乗りたちが着ていた衣服は、機能性が最優先されていました。彼らが乗る船は、風や塩水、暑さや寒さなど、過酷な自然環境に晒されていましたので、衣服には丈夫で防風性の高い素材が必要不可欠だったからです。
その為にも、湿気を避けながらも体を保温する効果があるウールやリネンなどの天然素材がよく使われていました。
普段着はシャツ、ズボン、そして靴が基本でした。シャツはリネン製が多く、これにウールのジャケットやケープを重ねることが一般的です。防寒対策として、寒冷地を航海する時には、厚手のウールやコートのような上着を着ていました。
また、靴も船上での生活に欠かせないものでしたが、滑りやすい甲板での作業を考慮して、しっかりとした革製のブーツが好まれていました。船員たちは常に足元の安全も意識しながら働いていたのですね。
航海中の船上作業では、常に動きやすさが求められました。船乗りたちは、激しい風や波の中で帆を張り、ロープを操りながら作業を行っていたため、ゆったりとした衣服が多く選ばる傾向にあります。特に、ズボンは膝下までの長さで動きやすく、靴は常に水に濡れることを想定して丈夫な革製が多用されました。
また、作業中に雨が降ってきた場合や波しぶきにさらされることが多いため、防水のためにオイルクロスを羽織ることもありました。このオイルクロスは、防水性が高く、船員たちの衣服を湿気や海水から守る役割を果たしていたのです。
頭部の保護も重要でした。日差しが強いときには、船乗りたちは帽子をかぶって直射日光を防ぎ、逆に寒冷地ではニット帽のような防寒具を使用していたことが多かったとされています。
航海中に衣服を洗うことはほとんど不可能でした。船には真水の貯蔵量が限られており、それを使って衣服を洗うのは贅沢すぎることだったのです。そのため、船乗りたちは限られた服を何度も着続けるしかありませんでした。汚れた衣服は、時折海水で洗い流す程度の手入れが行われましたが、塩分が残るために服が硬くなることもよくありました。
加えて、服の破損も頻繁に起こっていました。船乗りたちは長時間の作業をこなすため、衣服は摩耗しやすく、頻繁に修繕が必要です。船には簡単な裁縫道具が常備されており、船乗りたちは自分たちで衣服を修理することもありました。特に生活の基盤ともいえる「靴」の修繕は重要な作業で、履き古した靴を継ぎ足しながら使用していたのです。
船内には明確な階級制度が存在しており、船長や上級士官は一般の船員とは異なる、上質な衣服を身に着けていました。彼らは絹や高級なウールで作られた衣服を着ており、特に船長は、貿易や外交の場面で重要な役割を果たすため、外見にも気を配っていました。
一般の船員がシンプルで機能的な衣服に対して、上級士官は階級を示すための装飾品を身に着けることもありました。帽子やジャケットには金の刺繍が施されている場合もあり、これが彼らの地位を象徴していたのです。
また、彼らは予備の衣服を持っていることが多く、衛生状態も比較的良かったため、一般船員と比べると衣服の痛みが少なかったようです。
というわけで、大航海時代の船乗りたちの衣服事情についての解説でした!
まとめると
・・・というわけですね。つまるところ「大航海時代の船乗りたちは、限られた資源と過酷な環境の中で、機能性を重視した衣服を工夫して着用していた」という点を抑えておきましょう!