大航海時代の海図の特徴|採用された図法は?
この記事では大航海時代の海図の特徴に関する情報をまとめています。ポルトラノ海図が当時の航海で広く使われ、特にメルカトル図法が航路計算に役立ちました。この記事では、これらの図法がどのように航海を支え、精度を高めたかを探っていきたいと思います。

大航海時代の海図の特徴|採用された図法は?

大航海時代、ヨーロッパの国々が新たな航路を切り開き、世界の隅々まで到達するために使われたものの一つが「海図」です。海図は単なる地図ではなく、船の進行方向や位置を正確に示し、航海を安全に行うための重要なツールでした。本記事では、大航海時代の海図の特徴と、当時採用された図法について詳しく解説していきます。

 

 

大航海時代の海図の特徴

大航海時代の海図は、今日の地図とは異なり、海岸線や島々の形状、重要な港の位置などが中心に描かれていました。特に、風向きや海流の情報も描かれることがあり、これにより船長は航海中の判断材料を得ることができたのです

 

ローヌ線

海図の中で、航海の計画に重要だったのは「ローヌ線」と呼ばれる直線群です。これらは、コンパスの方位線を示し、船が進むべき方角を視覚的に示しました。これにより、船乗りたちは進行方向を見失わずに航海を続けることができたのです。また、ローヌ線は放射状に描かれ、中心から多くの線が広がっていました

 

デザイン性

さらに、海図は非常に装飾的で、美しいイラストや宗教的なシンボル、神話上の生物などが描かれることも珍しくありませんでした。しかし、その装飾は時として正確な航海の情報を妨げることもあり、実用性と芸術性のバランスが求められていたのです。

 

メルカトル図法の採用

大航海時代の中期に最も広く使われるようになったのがメルカトル図法です。この図法は、1569年にベルギーの地図製作者ゲラルドゥス・メルカトルが考案したもので、航海術に革命をもたらしたことで知られます。

 

メルカトル図法の特徴は、緯線と経線を直線として描くことで、航海中の方角を正確に保ちながら地図を読むことができる点にあります。この最大の利点は、方位を正確に保ちながら航路を引くことができる点です。

 

従来の図法では、経度が曲がって描かれることが多く、これが航海中の進行方向を誤る原因となっていましたが、メルカトル図法は、この問題を解決し、長距離航海を安全かつ効率的に行えるようにしたのです

 

メルカトル図法の欠点

ただし、メルカトル図法には欠点もあります。高緯度地域ほど面積が大きく歪むため、極地ではこの図法の使用は不向きでした。それでも、航海においては正確な方位を保つことが最重要視されたため、この図法は極めて有効なツールとなりました。

 

メルカトル図法登場前の海図

ちなみにメルカトル図法が登場する前、主に使われていたのはポルトラノ海図と呼ばれる海図です。ポルトラノ海図は、13世紀から15世紀にかけてヨーロッパで広く使用された海図で、港から港への航海を正確に行うための図として機能しました。

 

この海図は、主に地中海や北海など比較的狭い海域の航海で使用されており、緯度や経度の情報はほとんど描かれていません。その代わり、港の位置関係や航路が精密に描かれていたため、沿岸航海においては非常に実用的なツールだったのです。さらに、風向きや潮流も描かれ、船乗りはこれを参考にしながら航路を決定していました。

 

そんなポルトラノ海図は、メルカトル図法が広がる前の主要な航海図として活躍しましたが、大洋航海には適していませんでした。そのため、長距離の外洋航海が主流となる大航海時代には、より正確な地図が求められたのです

 

というわけで、大航海時代の海図とその特徴についての解説でした!

 

まとめると

 

  • 大航海時代の海図は、港や海岸線、ローヌ線が描かれ、装飾性と実用性が共存していた
  • メルカトル図法が登場し、正確な方位の保持が可能になり、航海術に革命をもたらした
  • ポルトラノ海図は短距離航海に適していたが、外洋航海には限界があった

 

・・・というわけですね。つまるところ「海図は航海の安全と効率を左右する重要なツールであり、時代とともに進化を遂げた」という点を抑えておきましょう!