
大航海時代、船乗りたちにとって長期間にわたる航海は過酷なものでした。食料の腐敗や不足が常に問題となる中で、彼らを支えたのが「ビスケット」と呼ばれる保存食です。このビスケットは現在の私たちが想像するサクサクしたものではなく、非常に硬く長持ちするものだったのです。今回は、この大航海時代の船乗りたちの命綱とも言えるビスケットについて、その背景や役割を詳しく見ていきましょう。
大航海時代のビスケットは、「ハードタック」と呼ばれる非常に硬いパンの一種。基本的には小麦粉と水だけで作られ、塩を加えることもありましたが、保存性を高めるために、油分や砂糖などは使われませんでした。非常に硬いため、まんま食べるのは難しく、食べる際は水やスープに浸して柔らかくしてから食べるのが一般的でした。
このハードタックの利点は、長期間の保存が可能で、腐敗しにくいことにあります。船乗りたちはこの保存食を頼りに、何か月にも及ぶ航海を続けることができたのです。長い間船内に保管されるため、多少のカビや虫がつくこともありましたが、それでも大切な栄養源として使われ続けました。
ハードタックの製造は非常にシンプルです。小麦粉と水を練り合わせ、薄い生地を作り、それを何度も焼いて水分を徹底的に抜きます。これにより、通常のパンとは異なり、水分がほとんど含まれていないため、非常に長持ちするパンが出来上がるのです。焼き上がったハードタックは、文字通り石のように硬く、船乗りたちの食事には欠かせない存在となっていました。
このビスケットは硬くて味気ないものではありましたが、当時の保存食としては理想的な食べ物だったのです。
ビスケットは、船乗りたちにとってカロリーと炭水化物を供給する大切な食料でした。しかし、ビスケットだけでは十分な栄養が摂れないため、船乗りたちはこれに干し肉や塩漬け魚、スープを組み合わせて食べていました。また、ビスケットが柔らかくなるまでスープやお湯に浸して食べることも多かったため、その際に他の食材からの栄養素も一緒に摂取していたのです。
ただし、ビスケットは保存性を重視して作られているため、ビタミンがほとんど含まれていませんでした。このため、長期航海ではビスケットだけでは栄養が偏り、特にビタミンC不足から壊血病を引き起こすことがよくありました。だからこそできるだけ新鮮な野菜や果物を補給できるよう、寄港地での補給を欠かさず行っていたのです。
ビスケットは腐敗しにくい食べ物ではありましたが、保存中に湿気を吸ったり、虫に食べられてしまったりすることもよくありました。特に、ゴキブリやネズミが船内で繁殖し、ビスケットを食べてしまうことは深刻な問題だったので、乾燥した場所で、しっかりと密閉された容器に保管される必要がありました。
劣化が進んでしまったビスケットは、船乗りたちが渋々食べることもありましたが、当然それで健康を害することもあったわけで、定期的に新しいビスケットを補給することが重要だったんです!
というわけで、大航海時代の船乗りたちを支えたビスケットについての解説でした!
まとめると
・・・というわけですね。つまるところ「大航海時代の船乗りたちは、この硬いビスケットに頼りつつ、過酷な航海を乗り越えていた」という点を抑えておきましょう!