
西回り航路とは、15世紀後半から16世紀にかけて、スペインやポルトガルなどのヨーロッパ諸国が新しい貿易ルートを求めて開拓した航路のことです。このルートは、大西洋を越えて新大陸やアジアに至るもので、多くの商品や資源が運ばれ、ヨーロッパの経済に大きな影響を与えました。この西回り航路では、どのようなものが運ばれたのか、そしてそれが歴史に与えた影響について詳しく見ていきましょう。
西回り航路で最も重要だった貿易品の一つが、金と銀です。1492年にクリストファー・コロンブスがアメリカ大陸に到達して以来、スペインとポルトガルは新大陸で大量の金銀を発見し、それをヨーロッパに持ち帰りました。特に、ペルーやメキシコの銀鉱山は、世界でも有数の生産量を誇り、その富がヨーロッパの経済に革命をもたらしました。
銀は、ヨーロッパの経済にとって非常に重要で、中国との貿易でも価値の高い商品として利用されました。特に、16世紀には、スペインのセビリア港を拠点にして銀が大量にヨーロッパに流入し、これがヨーロッパ全体の貨幣供給を増加させ、経済活動を活発化させたのです。
西回り航路を通じて運ばれたものには、新大陸からの作物も含まれていました。これらの作物は、ヨーロッパの食文化に劇的な変化をもたらしました。特に重要だったのは、トウモロコシ、ジャガイモ、トマト、カカオ、タバコなどです。
ジャガイモは、栄養価が高く、寒冷地でも栽培できるため、ヨーロッパの多くの国々で主食として定着しました。一方、カカオから作られるチョコレートや、タバコは嗜好品として広まり、ヨーロッパの上流階級を中心に人気を博しました。これらの新しい作物は、ヨーロッパの経済に大きな刺激を与えただけでなく、食文化や生活様式にも深い影響を与えました。
西回り航路で運ばれたものの中には、奴隷も含まれていました。アフリカからアメリカ大陸に渡った奴隷たちは、新大陸のプランテーションで労働力として酷使されました。西回り航路は、アフリカ、西インド諸島、ヨーロッパを結ぶ三角貿易の一部を形成し、奴隷貿易がその中核にありました。
奴隷は、主に砂糖やタバコ、綿花などのプランテーション作物の生産に従事させられました。奴隷貿易はヨーロッパ諸国に莫大な利益をもたらしましたが、アフリカや新大陸の社会には壊滅的な影響を与えています。この貿易の非人道的な側面は、後に奴隷制度廃止運動のきっかけともなることは知っておきましょう。
西回り航路は、新大陸だけでなく、アジアとの貿易にもつながっていました。スペインは、マゼランによる世界一周航海の後、フィリピンを拠点にアジアとの貿易を拡大していますが、この貿易で重要だったのは、香辛料、絹、陶磁器といった高級品です。
ヨーロッパでは、アジアから輸入された香辛料が特に高値で取引されており、シナモンや胡椒、ナツメグなどが料理や保存食として重宝されました。一方中国の絹織物や陶磁器は、ヨーロッパの貴族階級に人気があり、これらの高級品は、富と権力の象徴としてヨーロッパ社会に浸透していったのです。
というわけで、西回り航路で運ばれたものについての解説でした!
まとめると
・・・というわけですね。つまるところ「西回り航路は、世界各地の物資を結び、ヨーロッパの経済・文化に大きな変革をもたらした」という点を抑えておきましょう!