
大航海時代の船乗りたちは、長期間海の上で生活を送らなければなりませんでした。しかし、当時の船には現代のようなトイレ設備は存在せず、船員たちは限られた環境で工夫しながら排泄を行っていました。そんな時代のトイレ事情はどのようなものだったのでしょうか?彼らがどのように日々の衛生を保っていたのか、詳しく見ていきましょう。
大航海時代の船には、現代のようなトイレはなく、基本的には船の先端部分がトイレとして使われていました。この部分は「ヘッド」と呼ばれ、風通しが良いため臭いがこもりにくいという理由で、トイレに選ばれていたのです。また、船の先端から海に直接排泄物を流すことができるため、汚物の処理がしやすかったという事情もありますね。
「ヘッド」は、船の先端の両側に設けられた小さな板や穴で、そこに座って用を足す仕組みでした。船員たちは、波に揺れる船の上でバランスを取らなければならず、荒れた海では非常に危険な作業でもありました。
風向きや波の状態によっては、自分の排泄物が跳ね返ってくることもあったと言われています。船の規模によってはこの「ヘッド」も複数人で共有するため、常に清潔とは言い難い環境だったのです。
悪天候等で「ヘッド」が使えない状況や、船の中で緊急を要する場合、船員たちはバケツを使って排泄を行うこともありました。このバケツに用を足し、後で海に排泄物を流すという非常にシンプルな手法ですね。バケツの中身は、波の静かなタイミングを見計らって海に捨てられていました。
また、船の後部である「船尾」も時折トイレとして使われることがありました。船尾は波の動きが少し緩やかで、さらに船が前進することで排泄物が自然に船から離れていくため、衛生的な面で少しだけ優れていました。しかし、これも「ヘッド」と同様、悪天候時には危険が伴い、トイレとして使うには注意が必要でした。
船内でのトイレ事情は決して良好ではなく、これが船乗りたちの健康に悪影響を及ぼしました。排泄物がうまく処理されないと、感染症が広がるリスクが高まります。処理が出来ても、貴重な水で排泄後の手洗いなどできず、清潔を保つことが難しかったため、船内の病気の蔓延は大きな問題となったのです。
加えて、トイレがうまく使えない状況では、船員たちは排泄を我慢することもあり、これがさらに健康に悪影響を与えることがありました。食事の質や水不足と合わせて、トイレ環境の劣悪さは船乗りたちの体力や免疫力を低下させる原因にもなっていたのです。
船員たちは、船が港に停泊した際に真っ先に地上のトイレや風呂に向かうことが多かったと言われています。港町で一時的にでも快適な衛生環境に戻れることは、彼らにとっての最大の楽しみの一つだったのでしょう。
一般の船員たちとは異なり、船長や上級士官は少しだけ優遇された環境でトイレを利用していました。彼らの部屋には、簡易的なトイレ設備が設けられていたことがあり、バケツや壺を使って排泄することが一般的でした。このようなトイレは、通常、船員が処理し、海に排泄物を流していたと考えられています。
それでも、航海中は基本的に船全体の衛生環境が悪いため、船長や上級士官といえども、完全に快適とは言えませんでした。彼らもまた、船が港に到着するまでは不便な生活を余儀なくされていたのです。
というわけで、大航海時代の船乗りたちのトイレ事情についての解説でした!
まとめると
・・・というわけですね。つまるところ「大航海時代の船乗りたちは、限られたトイレ設備の中で、なんとか衛生を保とうと工夫していた」という点を抑えておきましょう!