フェルディナンド・マゼランの航海は、地球が丸いということを証明し、世界地図を根本的に変えた大きな出来事です。1519年、彼は西回りでインドを目指す航海に出発し、最終的にはヨーロッパ初の世界一周を成し遂げることになります。では、マゼランが見つけた航路とはどのようなものだったのでしょうか？そして、彼の発見が持つ意義について詳しく見ていきましょう。

 

 

マゼランが見つけた航路とは？

マゼランが発見した航路の最大の特徴は、南アメリカ大陸の南端を通る「マゼラン海峡」を越え、太平洋に抜けるというものです。彼は1519年9月20日にスペインのセビリアを出発し、西回りでアジアに到達する航路を探していましたが、ポルトガル王室との対立からスペインの支援を受けることとなりました。

 

航海の途上、南アメリカ大陸の端に広がる複雑な海峡に差し掛かり、ここを越えることで大西洋から太平洋へと出ることができたのです。この航路は後に「マゼラン海峡」として知られることになりましたが、狭く、風や潮流が複雑で非常に危険なルートでした。それでも、マゼランの功績により、アジアへの西回り航路が初めて現実のものとなったのです。

 

航路開拓の中で起きた問題

マゼランが直面した大きな問題の一つは、風と潮流でした。大西洋を南下する際には、貿易風や偏西風を活用して進むことができましたが、南アメリカの南端に近づくと風の向きが変わり、強力な風や荒れた海に悩まされました。特にマゼラン海峡は、風や潮流が非常に不安定で、嵐が頻発する海域として恐れられていました。

 

しかし、彼は粘り強く航海を続け、ついに海峡を越え太平洋に到達します。そこからは、「平和な海」（彼自身が名付けた「太平洋」）と呼ばれる穏やかな海を進むことができました。太平洋の広大さは彼の予想を超えており、食糧や水の不足に直面する厳しい旅となりましたが、マゼランの航路は世界一周への道を切り開いたのです。

 

マゼラン、フィリピンで没する

マゼランの航海は、フィリピンへの到達をもって大きな成果を上げました。彼は1521年にフィリピン諸島に到着し、ここで地元の首長ラプ＝ラプと接触します。しかし、マゼランはこのフィリピンでの争いの中で命を落としてしまい、彼自身は世界一周を完遂することができませんでした。

 

とはいえ、彼の船団の一部は引き続き航海を続け、最終的に1522年にスペインへ戻り、史上初めて世界一周を達成しました。マゼラン自身は帰還できなかったものの、彼の航路は「世界がつながっている」という新たな地理的認識をもたらしたのです。

 

マゼランによる航路発見の意義

マゼランが発見した航路の意義は非常に大きいものでした。まず、西回りでの世界一周が可能であることが証明され、地球が丸いという理論が実際の航海によって裏付けられました。これにより、ヨーロッパ人にとって新たな航海の可能性が広がり、探検と交易が活発化しました。

 

さらに、マゼランの航海によって太平洋の存在がヨーロッパに広く知られることになり、アジアとの新しい交易ルートが開かれるきっかけとなりました。この航路は、後のスペインによるフィリピン植民地化やアジアへの影響力の拡大にもつながりました。また、マゼラン海峡の発見により、大西洋と太平洋を結ぶ新たなルートが開拓され、商業的にも軍事的にも重要な通路となったのです。