大航海時代の船乗りたちにとって、長期間の航海中に飲み水を確保するのは大きな課題でした。私たちは当然のように水を飲みますが、当時の船には水の代わりにビールやラム酒が積み込まれていたのです。なぜそのような選択がされたのでしょうか？この記事では、大航海時代にビールやラム酒が飲料として重要視された理由について詳しく解説していきます！

 

 

水が腐りやすかった理由

大航海時代の船では、水は非常に貴重な資源でしたが、水は長期間保存するのが難しいという問題がありました。船に積まれた水は、木製の樽や容器に保存されていましたが、時間が経つと細菌の繁殖や樽の腐敗により、水はすぐに悪臭を放ち、飲めなくなってしまうのです。

 

このため、水は航海の初期には使用されましたが、数週間も経つと品質が劣化し、飲料としての役割を果たせなくなりました。さらに、水の保存技術が未発達だったため、冷蔵や殺菌の方法がなく、腐敗を避けるための工夫が必要でした。こうした背景から、水に代わる飲み物が求められたのです。

 

ビールとラム酒の保存性

そこで重宝されたのがビールやラム酒です。これらの飲み物は発酵によって作られており、アルコールが含まれているため、腐敗しにくく、長期間の保存が可能でした。

 

ビールは特に北ヨーロッパの航海でよく使われ、発酵の過程でアルコールが微生物の繁殖を防ぐ役割を果たしていｍした。一方、ラム酒は南米やカリブ海で生産されることが多く、甘みと強いアルコール度数で保存が利きました。

 

こうして、ビールやラム酒は水に代わって船内の主要な飲料として積み込まれるようになったわけですね。

 

ビールとラム酒の役割

栄養補給

ビールやラム酒は単に水の代替として飲まれていただけでなく、栄養補給の役割も果たしていました。ビールには、麦芽やホップが使用されており、微量ではありますが、ビタミンやミネラルを含んでいました。また、ビールは水分補給にも適しており、発酵による酸味が飲みやすさを助けたのです。

 

一方でラム酒は、ビールほど栄養価は高くないものの、船乗りたちの士気を高めるために配給されることが多かったです。特に英国海軍では、1日分のラム酒を配る「ラムの配給制度」が長年続けられ、船員たちにとっては日々の楽しみでもあったんですよ。

 

病気予防

ビールやラム酒の積載には、もう一つの理由がありました。それは病気予防です。大航海時代の船では、病気が蔓延することがあり、その中でも壊血病が大きな問題でした。ビールやラム酒は直接的に壊血病を防ぐものではありませんが、栄養不足の船乗りたちにとって少しでも栄養価がある飲み物は貴重でした。

 

また、アルコールは一部の感染症や食中毒のリスクを軽減する効果があり、その点でも船内での健康管理に役立ったと考えられます。