
大航海時代には、多くの船乗りが長期間の航海に挑みましたが、その過程で深刻な問題となったのが壊血病です。この病気はビタミンC不足が原因で発生し、この時代多くの船員たちを苦しめました。航海中に新鮮な果物や野菜を確保するのが困難だったため、壊血病が蔓延した結果、多くの命が失われ、航海が困難に陥ることもあったのです。今回は、そんな壊血病が流行した原因と当時とられた対策について詳しく見ていきます。
壊血病は、ビタミンC不足によって発症する病気です。ビタミンCは体内でコラーゲンの生成を助け、血管や皮膚、骨などを健康に保つために重要な栄養素です。しかし、長期間の航海では、フルーツや新鮮な野菜を摂取することが難しく、船員たちは次第にビタミンCが不足しがちでした。その結果、身体が弱って歯茎が出血しやすくなり、傷の治りも遅くなるといった症状が現れ、最終的には命を落とすこともあったのです。
大航海時代の船には食料や水を積み込んでいましたが、それらは基本的に保存がきく硬いビスケットや干し肉などが中心でした。新鮮な果物を持ち込んだとしても、すぐに腐ってしまうため、長期の航海では壊血病のリスクが常に付きまとっていたというわけです。
壊血病に対して有効な治療法が知られていなかったため、大航海時代には様々な仮説に基づいた対策がとられています。しかし、その多くは効果がなく、船員たちは長い間この病気に悩まされ続けました。
一部の船では、壊血病にかからないために、酢やビール、ラム酒などを飲むことで体調を維持しようとする試みもされていました。航海中にアルコールを大量摂取することも珍しくありませんでしたが、飲み過ぎると生活に支障が出る上、ビタミンCを補うことはできず、根本的な対策にはならなかったのです。
ビタミンCの重要性が広まるまでの間、他にも様々な対策が試されました。例えば、塩漬け肉や魚、乾燥した豆類などの保存食を補うため、船内で栽培可能な野菜を育てようとする試みも一部で行われていました。また、現地で調達した食材を使って、栄養不足を少しでも改善しようとする努力が続けられていましたが、これも全員を救うには至りませんでした。
18世紀に入ると、壊血病の原因が徐々に明らかになり始めました。1747年、イギリスの医師ジェームズ・リンドが壊血病の原因が栄養不足にあることを突き止め、実験を行います。その結果、柑橘類が壊血病の予防に効果があることを発見し、船員たちにレモンやオレンジを与えることで症状が改善することを確認しました。
その後徐々にビタミンCの重要性が認識され、19世紀初頭にはイギリス海軍が船に大量のレモンやライムを積み込むことを義務づけるようになりました。これにより、壊血病はほぼ撲滅され、大航海時代の船員たちにとっての最大の脅威の一つが解決されたのです。
というわけで、壊血病が流行った原因と当時とられた対策についての解説でした!
まとめると
・・・というわけですね。つまるところ「壊血病はビタミンCの不足によって引き起こされ、柑橘類の導入がこの問題の解決策だった」という点を抑えておきましょう!