
大航海時代、長期間にわたる航海では、船乗りたちの食事は非常に重要な課題でした。しかし、冷蔵技術や現代のような保存方法がなかったため、限られた食料をどのように管理し、栄養を確保していたのか、厳しい状況の中での工夫が求められていました。ここでは、大航海時代の船乗りたちがどのような食事をしていたのか、その実態について詳しく解説します。
大航海時代の船乗りたちの主食は、保存が利くものが中心でした。長期間の航海では、新鮮な食材を持ち込むことが難しく、保存可能な食料をいかに確保するかが生死に関わる問題だったのです。特に、硬くて乾燥したビスケット「船用ビスケット(ハードタック)」は、船乗りたちの主要な食料でした。
このビスケットは、非常に硬く、長持ちすることが最大の特徴でしたが、味はほとんどなく、時間が経つとカビが生えたり虫が湧いたりすることもありました。とはいえ、航海中に新鮮なパンを手に入れることができなかったため、贅沢も言ってられなかったんですね。。
もう一つの主食は塩漬け肉です。船には新鮮な肉を保存する冷蔵庫がないため、肉を塩漬けにして保存する方法が一般的でした。牛肉や豚肉が多く使用されましたが、これも長い航海では塩分が濃すぎて食べにくくなり、健康に悪影響を与えることもありました。
大航海時代のもう一つの大きな課題は飲み水の確保でした。船には限られた量の真水しか積むことができず、それが底をつくと、船乗りたちは苦しい状況に陥りました。真水は腐りやすく、しばしば汚染されることもあったため、長期航海では飲み水の問題が命取りになることがあったのです。
そのため、飲み物としてはビールやワインといった「酒」が重要な役割を果たしていました。これらは長期間保存が可能で、栄養価もある程度含まれていたため、船乗りたちの貴重な水分補給源です。特にビールは、水よりも腐敗しにくく、航海中に頻繁に飲まれていました。
ただし、船に積める量には限界があったため、飲み水の不足は常に心配の種なのは変わりませんでした。
航海中の食事には新鮮な野菜や果物が不足していました。そのため、ビタミンCの欠乏により発症する壊血病が、船乗りたちにとって最大の健康リスクでした。
壊血病は、歯茎の出血、体力低下、さらには死亡を引き起こす恐ろしい病気ですが、航海中に新鮮な食材を手に入れる手段はほとんどなく、ビタミンCの不足を補うことは非常に難しいことでした。
これを解決するために、後にレモンやオレンジなどの柑橘類を積み込む工夫が生まれましたが、それが広く認識されるようになったのはずっと後の時代なのです。
代わりとして、保存できる野菜としてキャベツの酢漬け(サワークラウト)が一部で使用されるようになり、少しでも栄養を補おうという試みがなされましたが、完全な予防には至りませんでした。
一般の船員たちとは異なり、船長や上級士官の食事はもう少し贅沢なものでした。彼らは自分たち専用の保存食を持ち込むことができ、ワインやチーズ、燻製肉、さらには干した果物などを食べることができました。航海中、彼らの食事はより栄養価が高く、一般の船員たちよりも健康を維持するための手段が整っていたのです。
しかし、長期にわたる航海が続くと、彼らでさえ食料の質が低下することは避けられませんでした。新鮮な食材が手に入らない中で、保存食だけでの食事が続くと、やはり栄養不足が問題となります。それでも、船長や士官たちは、目的地までたどり着く責任と、船内での地位の象徴として、できる限り快適な食事を取る努力をしていたのです。
というわけで、大航海時代の船乗りたちの食事についての解説でした!
まとめると
・・・というわけですね。つまるところ「大航海時代の船乗りたちは、限られた食材と工夫で命をつなぎ、過酷な航海に耐えていた」という点を抑えておきましょう!