大航海時代の貿易|中世からどう変化した?
このカテゴリーでは大航海時代の貿易に関する情報をまとめています。中世の陸路貿易から海上貿易への転換、世界規模の経済発展を促進した新航路の開拓や植民地貿易の発展を探っていきたいと思います。

大航海時代の貿易史|中世からどう変化した?

大航海時代は、ヨーロッパ諸国が新たな貿易ルートを開拓し、世界の市場を結びつけた歴史的な時期です。しかし、貿易はそれ以前の中世からどのように変化したのでしょうか?この時代には、技術の進歩や新たな発見が多くの変革をもたらしました。この記事では、前史から末期まで、大航海時代の貿易史の流れを追いながら、中世との違いについて探っていきます。

 

 

前史:中世の貿易の特徴

中世のヨーロッパでは、主に陸路を使った貿易が中心でした。シルクロードを通じてアジアとの交易が行われ、香辛料、絹、宝石などの高価な品々がヨーロッパにもたらされていました。しかし、これらの陸路は長く、さまざまな危険が伴うものでした。また、イスラム世界の支配下にあった地中海交易も重要でしたが、その経済的な影響力は限られていたのです。特に、商人たちは高額な通行料や海賊による襲撃のリスクに常に直面していました。

 

一方、北ヨーロッパではハンザ同盟という商業ネットワークが発展し、北海やバルト海を中心に活発な交易が行われました。中世の貿易は地域的な枠を超えることは少なく、ヨーロッパ内の商取引にとどまることが一般的だったのです。

 

前期:新しい航路の発見

15世紀後半から、新しい航路を探す動きが活発化しました。この背景には、オスマン帝国がコンスタンティノープルを征服したことにより、伝統的なアジアとの交易路が遮断されたことが大きな要因です。これにともない、ポルトガルやスペインの探検家たちは海を越えた新たな貿易ルートを模索するようになります。

 

特に、ポルトガルの探検家ヴァスコ・ダ・ガマ(1460年頃 - 1524年)が1498年にインド航路を発見したことは、貿易における大きな転機となりました。これにより、ヨーロッパは直接インドから香辛料を輸入できるようになり、中世の間接的な貿易ルートから一気に飛躍したのです。また、1492年にはクリストファー・コロンブス(1451年 - 1506年)がアメリカ大陸に到達し、新大陸との交易がスタートしました。これにより、貿易のスケールが世界規模に広がったのです。

 

中期:大西洋貿易の発展

16世紀に入ると、大西洋貿易が急速に発展しました。特にスペインとポルトガルは、南アメリカやアフリカとの貿易を拡大し、これにより大量の銀や金がヨーロッパに流入しました。この貿易の拡大は、ヨーロッパ経済に大きな影響を与えました。また、ポルトガルはアジアの香辛料貿易を独占し、貿易帝国としての地位を築き上げます。

 

この時期には、他のヨーロッパ諸国も海洋貿易に乗り出し、イギリスやオランダが次第に台頭してきます。オランダ東インド会社やイギリス東インド会社の設立により、インド洋や太平洋を舞台とした貿易が一層活発化しました。これにより、ヨーロッパ各国の経済は大きく発展していったのです。

 

後期:植民地貿易と三角貿易

17世紀後半から18世紀にかけて、植民地貿易がさらに重要な役割を果たすようになりました。特にアメリカ大陸では、ヨーロッパから輸出された武器や工業製品がアフリカで奴隷と交換され、これらの奴隷がアメリカ大陸に送られ、プランテーションで働かされるという三角貿易が展開されました。アフリカ、アメリカ、ヨーロッパを結ぶこの貿易は、莫大な利益をもたらしましたが、同時に多くの悲劇を生んだのも事実です。

 

とりわけ、アメリカからヨーロッパへの砂糖やタバコ、コーヒーの輸出は、植民地の経済発展に貢献しましたが、その背後には過酷な奴隷制度が存在していたのです。こうして、貿易が世界規模に拡大し、多様な商品が行き交う一方で、植民地支配と搾取の側面が強まっていきました。

 

末期:競争と支配の時代

18世紀後半から19世紀にかけて、大航海時代の貿易は新たな局面を迎えます。ヨーロッパ諸国間での競争が激化し、特にイギリスとフランスが海上覇権を巡って激しく対立しました。イギリスは「海の女王」として大西洋貿易を支配し、その勢力を植民地にも及ぼしました。ナポレオン戦争(1803年 - 1815年)後には、イギリスが世界貿易をほぼ独占する状況が生まれます。

 

この時期、産業革命が進展したことで工業製品の需要が高まり、植民地はその供給源としてさらに重要性を増しました。これにともない、貿易の拠点は大西洋からアジアへと再び移っていきます。こうして、貿易の重心が新たな局面を迎え、大航海時代の影響がその後の世界に広がっていったのです。

 

というわけで、大航海時代の貿易史についての解説でした!

 

まとめると

 

  • 中世の貿易は主に陸路で行われていた
  • 新航路の発見により、海上貿易が世界規模に拡大した
  • 三角貿易や植民地貿易が経済に大きな影響を与えた

 

・・・というわけですね。つまるところ「大航海時代の貿易は中世の陸路貿易から海上貿易への転換点であり、世界的な経済発展の基盤を築いた。」という点を抑えておきましょう!